フットボール競技者が世界で一番多い国から学んだこと。指導者が思考すべき子どものための環境とは【ジュニアゲーム編】

第一回二回三回までは、選手・保護者・指導者のそれぞれの関わり方についてお話ししました。

第四回は「ジュニアゲーム編」です。日本では小学生年代のゲームが8人制になってから約5年が経ち、今では当たり前のように行われています。ボールに多く触れ、ゲームに参加する機会を増やすことを目的としたこの8人制は、育成年代の発達に、大きな影響を与えていることは間違いありません。

しかし、形ばかりに8人制のゲームを行うだけで、その本質を忘れているような光景を目にすることがあります。

子どもに大人の服を着せますか?ゲームの大きさ、人数、時間はすべて選手のためにある

日本のフットボールでは、「小学生以下は8人制、中学生以上は11人制」となっています。比較するために以下に各規則を挙げます。

■8人制

・ピッチ:68m×50m(11 人制サッカーフィールドの半分:2 面のフィールドが設置可能)を推奨する。使用する試合会場の大きさによって修正することは、可とする

・ゴール:5m×2.15m(少年用サッカーゴール)を推奨する

・ボール:4号球

・試合時間:①前、後半それぞれ15~20分間を標準とする(年代によって変更できる)。② ハーフタイムのインターバルは、10分を超えない。③3ピリオド制を採用することができる。3ピリオド制を採用した場合、3ピリオド目の中間点で両チーム攻めるエンドを替える

(「8人制サッカー競技規則」財団法人日本サッカー協会)

■11人制

・ピッチ:最大120m×最大90m(タッチライン最小90m、ゴールライン最小45m)

・ゴール:7.32m×2.44m

・ボール:5号球

・試合時間:前半、後半共に45分間

(『サッカー競技規則2018/19』IFAB、翻訳:日本サッカー協会)

※試合時間に関して、日本ではカテゴリーや大会によって変更されます)

JFA・IFAB(国際サッカー評議会)が規定したものなので、「規定に沿って小学生以下は8人制で行えばいい」と、考えてしまう人がいるかも知れません。実際、幼稚園児の大会でも、杓子定規に8人制のゲームがいまだに行われています(11人制でやっているところもありますが……)。これは果たして、子どもたちための試合なのでしょうか。

子どもが成長する過程で、食べ物・服・習い事など、周りのものを新調・変更すると思います。フットボールも同じです。子どもたちの成長段階に応じたピッチの広さ、人数、ボールの大きさ、時間の設定が必要なのです。

フットボールを始めた低学年の選手には、「フットボールは楽しい!」と感じてもらうことが一番の目的。そのために、たくさんボールに触れることのできるオーガナイズに加え、プレーのストレスを軽減することも大切です。プレーのストレスとは、ピッチの中にあるスペースの広さと選手の人数の度合いで変化します。

スペースはプレーを行うために重要です。スペースが広ければ、選手は余裕を持ってプレーができるからです。人数も然りです。こういったことを考慮することで、ボールを複数入れたり、小コートを複数作り、少人数でゲームをさせるなど、ボールコンタクトやゴールの機会を増やし、楽しみや喜びが体験できる環境を構築することができるのです。

こう考えると、指導者はトレーニング前の準備も大切ですが、実際に選手がプレーをしているときに、「トレーニング目的を達成するために、オーガナイズを調整する能力」こそが、指導者としての本領を発揮する時です。

一部では、「ピッチに立っているだけで良い」と思う指導者がいるようですが、果たしてそこには、フットボールの楽しみや成長があるのでしょうか。

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末本亮太

末本亮太(すえもとりょうた)。1978年、東京都生まれ。神奈川県立横浜翠嵐高校、早稲田大学教育学部で学業と平行してサッカーに打ち込む。現在は横浜市港北区大豆戸町にあるNPO法人・大豆戸フットボールクラブの代表を務める。「ちょっと自慢できる、サッカーを通じて出会うはずのない感動、人、未来を創造し、非日常を提供すること」を使命に掲げ、精力的に活動。選手を連れて被災地訪問など、NPO団体としてサッカーだけにとどまらない活動も行っている。