小嶺イズムの継承者、スペインで得た知識と確信2

バルセロナは“蹴球馬鹿”が集まる街だ。バルサのフットボールに魅了され、ある者は休学し、ある者は職を辞してこの街にやってくる。中でも多いのが指導者。近年は現地で学んだ監督たちが続々と帰国し、日本で活躍しはじめている。

RCDエスパニョール・ジャパンアカデミーの責任者・吉住貴士もその一人。第2回は現地の子供を指導する中で感じた日本との違いについて訊いた。

(取材・文=工藤拓)

自由に判断できるスペインの子どもたち

バルセロナではカタルーニャ3部(7部相当)に属する町クラブ、モリンズレイのトップチームでプレーしながら、同クラブの下部組織でコーチ、監督を歴任。並行して指導者学校に通い、レベル1、2のライセンスを取得した。

――スペインで感じた日本との違い

「スペインは本当の意味でプレイヤーズファーストですよね。甘やかしとかじゃなくて。本当に選手第一の考え方だなっていうのはすごく感じましたね」

――監督が細かな戦術的指示を出すイメージもあるが

「スペインはすごく規律はあるんですけど、その中で自由も与えられている。例えば、友人の指導者がナスティック時代の鈴木大輔選手(現・浦和レッズ)について面白い話をしていました。ナスティックのスタッフが指導者学校に来ていて、彼はすごくいい選手で、能力も高いんだけど、ダメなところが一つあると。たとえば『この選手につけ』と指示するとすごいんですって。でもそれしかやらない。マークを捨ててカバーリングしなきゃいけない時でもついて行ってしまう。それが重大なミスにつながって、やられたりすることがあると。

多分スペイン人だと、そこができる。自分の仕事はこれだけど、サッカーの原理的にそこはカバーリングだろというのが分かっているから、自然とそれができる。選手自身が判断できる。自由に判断できるのがスペイン人。いろんな選択肢があって、選べるのがスペイン人なのかなと。それはすごく、ああそうだなと思いましたね。

僕が教えていた子ども達の試合で、中盤をやっていた日本人の子がいたんですけど、結構攻められていて、FWの選手たちも中盤に降りてきてその子が一番前にいた時があったんです。それでGKが取った瞬間、監督はカウンターアタックだから前に行けと言うんです。日本人の子だけじゃなくみんなに。一番前にその子がいたからその子が裏に行くべきじゃないですか。でもその子は、自分は中盤だから行かないんですよ。

基本、中盤の選手は『スペースを埋めて』って試合前に言われていたので、行こうか行くまいか迷っていて。スペイン人の子がそこに入ったら、結構自由に行っちゃうんですよね。で、やらなきゃいけないことはちゃんとやる。埋めなきゃいけない時はスペースを埋めるとかもできる。U12の段階でその差がある。間違う時もあるんですけど」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUTこの記事をかいた人

吉住貴士

吉住貴士(よしずみ たかし)/1986年生まれ。長崎県平戸市出身。国見高―鹿屋体育大卒。長崎総合科学大学附属高サッカー部コーチを5年間務めた後、2013年に渡西。バルセロナの町クラブで育成年代の指導に当たりながらスペイン指導者ライセンスのレベル2(日本のA級に相当)を取得。17年の帰国後はスペイン1部RCDエスパニョールが開校したジャパンアカデミーの責任者として本場のフットボールを伝えている。